26日に楽天イーグルスが9年目にして初のリーグ優勝を決めた。絶対的エースとなった田中投手がこれまでにない大活躍したのに加え、投打に新戦力が絡み、夏場以降は首位を独走した。昨年優勝の日本ハムが低迷した事もあり、首位争いは白熱するものがあったが、頭一つ抜け出した。創設9年目での優勝は、創設時の経緯を考えるととても感慨深いものがある。あとはクライマックスシリーズを勝ち抜き、日本一を目指して欲しいものである。
今年はマー君こと田中将大投手の世界的な新記録を伴う大活躍が光った。開幕22連勝(9月29日現在、最終的に24勝)というこれまでからみてもあり得ないと言える様な抜群な成績を残し、これだけでも「絶対に優勝してやる!」と感じられるものでした。11年にも19勝したもの、チームの成績が追い付いていなかった。彼は今オフにメジャーに行くと言われているが、せめてメジャーに行くまでに優勝を味わう事ができて良かったものである。
開幕投手に抜擢された新人の則本が田中に次ぐ14勝(9月29日現在、最終的に15勝)を挙げたのも大きかった。星野監督の見る目があったと言えるもので、田中が抜けても彼が柱になれば大崩れせず再び優勝を目指せるものになるだろう。ただ、彼に次ぐ先発投手が現れていないのが悩み所だ。更に投手陣を支え、選手会長となった嶋捕手の成長・活躍も大きい。
星野監督の「政治力」がついに楽天でも発揮された。これまで選手獲得にあまり大金を投じてこなかった球団に対し、星野監督は「安物買いの銭失いはやめましょう」とフロントに声をかけ、ジョーンズとマギーを獲得した。彼ら2人が打の主軸を担い、大暴れした。更に銀次や枡田といった若手野手が台頭し、チームの快進撃を支えた。
星野監督はこれで指揮してきた球団すべてにおいて優勝させてきた事になる。中日・阪神に加え、楽天も優勝させた事で、セ・パ両リーグにおいて優勝させた事にもなる。2008年の北京オリンピックで日本代表を指揮した時はではメダルなしに終わったが、ここにきて改めて星野監督の底力を感じられた。2003年の阪神優勝後に体調不良が原因で監督を降りただけに大丈夫だったのかと思えたが、どうやらその辺は大丈夫の様だ。
初年度である2005年は田尾監督が指揮したが、有力な選手が揃わず、他球団と比べ明らかに戦力不足だった。実際首位と50ゲーム差余り離され、100敗近く喫する最下位に終わった。球界の過去40年の中で見れば最低の成績であり、はっきり言ってこの頃に「10年以内に優勝する」と言えば笑われただろう。田尾監督が僅か1年で解任されて06年より野村監督が指揮を執ると成績が上向いていき、更にオフに田中投手を獲得すると、彼の活躍もあり最下位を脱出した。08年は5位でしたが、09年には2位となり、初のAクラス入りを果たした。
しかし、野村監督は退任となり、その後就任したブラウン監督の下10年は最下位に転落したが、僅か1年で解任された。それから星野監督が就任したが、11年3月に東日本大震災が起き、特に東北の太平洋側が甚大な被害を被った。同年4月に選手会長の嶋が「見せましょう野球の底力を」とスピーチで発し、「がんばろう東北」を合言葉にしてきたが、11年・12年はそれぞれ5位・4位と思う様な成績が残せなかった。そしてオフにこれまでにない思い切った補強も行った。今回の優勝は東北の被災地に勇気を与えるものともなった。
球団初年度からの選手は僅か4名しか残っておらず、主軸をはじめかなり入れ替わった感じがする。エースの田中投手でもチームのキャリアが長い方になるだろう。特に初年度の辛酸や悔しさがあるだけに、今回の優勝は一際喜びも大きいものとなるだろう。とてもひどい戦力だった初年度から見ると、とてつもない成長率である。